OSIPP Interdisciplinary Seminar on Peace and Human Rights 開催
2024.2.19
2024年1月24日、前川和歌子准教授と髙田陽奈子准教授によるセミナーが開催され、二人の共同研究 “The Roles of the Inter American Court of Human Rights in Addressing the “Peace versus Justice” Dilemma: (How) Does Its Amnesty Law Jurisprudence Affect Peace and National Reconciliation in Latin America’s Transitional Societies?” の発表が行われた。
この研究は、定量的手法による紛争・平和研究(前川准教授)と、法的・規範的な手法による国際人権法研究(髙田准教授)との融合を目指すもので、OSIPPの特徴である学際性を活かす狙いがあるという説明がセミナーに先立って伝えられた。
当日はオンデマンド参加と対面参加のハイブリッド形式で開催され、OSIPPの学生や教員12人が対面で出席し、オンデマンドで1人出席した。
発表では、国際的な司法機関によって国内における恩赦法が違法でありかつ無効であると判断されたときに、国内の勢力バランスや政治的安定性が変わり、また社会における分極化が進むことで、現政権に対する抵抗運動が増加するという事が、米州におけるIACtHR(米州人権裁判所)の判決についてのデータと各国の抗議データを用いて示された。
参加者からは、恩赦法が与える影響について検証するための比較対象の選び方や恩赦法の無効判決が出される過程などについて質問があり、加えて紛争以外の国内の犯罪状況への影響や周辺国への影響などを考慮することが提案されるなど、活発な議論が行われた。今回の研究のように国際法の分野での実証研究は学術的にも珍しいもので、このようなOSIPPならではの学際性を生かした今後の更なる研究の可能性を考えるきっかけとしても貴重なイベントとなった。今後も継続して開催されることを期待したい
(OSIPP博士前期課程 花山愛歩)